COLUMN05 浅煎りにとことんこだわる、
コーヒーショップ
– 前篇 –

Finetime Coffee Roasters
  • TEXT AND PHOTO BY ALLY
  • 2017.06.15

皆さん、こんにちは!Slorn・コミュニティコーディネーターのアリーです!
コラムコーナー、第3回目は、経堂にある「Finetime Coffee Roasters」(以下、Finetime)です。
オーナーの近藤剛さんに色々なお話を聞かせていただきました。

まずはFinetimeの出店経緯、コンセプトを教えてください。近藤さんは、以前はサラリーマンをされていたのですよね?

近藤

はい。元は金融をやっていました。それで、経営的な事も勉強していたんですね。そこから色々あって辞めて、将来的には自分で何か商売というか事業をやりたいな、というのがあり探してみました。
食べる事が結構好きだったので、そういう感じの事をしたいなと思っていたんですね。調べているうちに浅煎りで豆の個性を出しているようなフルーティーなコーヒーがあるという事を知ったので、浅煎りのスペシャルティコーヒーの店をやるのが良いんじゃないかと思いました。

それで、一軒家で1階はカフェで2階は住居という物件を探しました。
古い物を再生して使うのがいいなと思って。コストも安くなるので、リノベーションをする事を念頭に置いて、リノベーションのリビタさんというところに行ったら、担当者さんがコーヒー好きという事もあって、「じゃあ、面白いからやりましょう。」と。
都心には既にスペシャルティコーヒーのお店があるので、まだ、そういったお店が少ないであろう世田谷界隈で探しました。
リビタさんが10軒くらい紹介してくれた中でここが見つかり、駅近でもあったので、ここに決めました。

近藤

元々浅煎りのコーヒーの美味しさは私も知らなくて、深煎りを飲んでいたのですが、調べていって飲んでいるうちに美味しさに目覚めたんです。且つ、飲んだことのない方も多いかと、その時思いました。それでこういう浅煎りのフルーティーなコーヒーを広めたいな、という思いが湧いてきてお店をやっているという感じですね。
当初は焙煎をして、豆屋をやろうと思っていたのですが、ただ豆を売っているだけじゃ中々人は来ないし、やはり飲んでもらわないと味は伝わらないと思いました。人が集まって話ができるカルチャー的なカフェが好きだったから、それと併せて試飲も出来る形で自家焙煎をやっている、というのが現状ですね。

コーヒー豆のこだわりポイントをお聞きしたいのですが、生豆の買い付けなどはどうしていますか?

近藤

豆の選び方は、私は色々調べて勉強をしている間にFuglenさん(フグレン。渋谷区富ヶ谷にあるカフェ)とかに行き始めました。Fuglenさんのコーヒーが美味しかったので、生豆をどこから買っているのかと問い合わせたら、ノルディック・アプローチという、ノルウェーの会社でした。
仕入れさせてもらえないかと連絡し、オスロへ行ってカッピングをして自分で味をみて、僕はこういう感じが好きで、みたいな事を言ったら、卸してもらえる事になったんです。
なったんですけれど、うちなんか規模が小さいので最初はそんなに仕入れられない。一袋だけ持ってくるとコストが高い。それで、Fuglenさんが仕入れているのでそれに混ぜてもらったらいいんじゃないの、と言われそのような形になりました。

焙煎の時に気をつけている事などありますか?

近藤

フルーティーなコーヒーなので焦がしたくないんです。あまりロースティーに焦げが出るのが嫌なので。でも浅煎り過ぎると酸っぱくなっちゃうんですよね。酸っぱいだけなのは嫌なので、甘さが出るまでフルーティーな感じで焼きたいんですけれど、それってもうちょっといくと焦げちゃうんです。ギリギリのところなので、そこのポイントを常に見極めて焼くようにしています。それがすごく難しいです。

お話を聞くだに難しそうです…!

浅煎りにこだわられたのは、色々飲んで、発見があったからですか?それともご自身が元々、お好きだったからですか?

近藤

両方ですね。色々飲んでいるうちに、やっぱり深煎りだと味がわかんないんですよ。焦げちゃうから。元々本来、豆の持っているフルーティーさが苦味で覆われちゃって、わかんなくなるんですね。私がどんどん好きになっていったのもありますが。
Qグレーダーといって、世界的に認められている生豆の鑑定をする資格があるんです。この豆は何点、という感じで点数をつけられるんですよ。
開店の準備をしている内にそういうのを学んで、世界的にはやっぱり生豆の個性とか味を活かすには浅煎りじゃないとダメなんだな、という事に自分の中でなってきました。飲んでいったら深煎りはだんだん飲めなくなってきましたね。
そうは言ってもやっぱり商売なので、最初は深煎りも浅煎りも扱おうと思っていました。
ですが、自分も深煎りは飲めないし、そういうのが1個あると、みんなそっちにいっちゃって、絶対酸味のある浅煎りの方を飲んでくれないんですよね。だから振り切って、浅煎りしかやらないようにしました。現状だと、そうやって飲んでくれて美味しいと言ってくれる人は女性が圧倒的に多いのですが、男性がやっぱり難しいですね。未だに酸味がなくて苦いのはありませんか、と聞かれます。

女性の方が浅煎りを好む、という状況は興味深いですね!

近藤

苦くないとコーヒーじゃない、みたいな。今までの蓄積が多ければ多い人程、やっぱり過去の経験則に囚われちゃうので浅煎りの方に来ないんですよね。だからコーヒー通の年配の男性とかは非常に難しいですね。
たぶん、1回飲んだだけじゃわからないんですよ。僕もそうだったんですけれど。
3回か4回ぐらいこういうのを経験しないとおそらく良さをわかってもらえないんですが、1回来て飲んで、ダメだと思ったらそういう人は絶対2度と来ないんで。中々難しいですよね。

次回に続きます。

近藤 剛
Owner/Roaster/Barista

FINETIME COFFEE ROASTERS 創業者
東京出身だが、中学・高校と多感な時期を大阪で過ごし影響を受ける。
流通業勤務時代に英国・米国留学を経験、食文化の重要性を再認識する。
金融機関で働いた後、住居兼焙煎所兼カフェを経堂にオープン。
趣味は、食べ歩きとサブカル全般。