COLUMN06 浅煎りにとことんこだわる、
コーヒーショップ
– 後篇 –

Finetime Coffee Roasters
  • TEXT AND PHOTO BY ALLY
  • 2017.06.30

皆さんこんにちは!経堂のFinetime Coffee Roastersオーナーの近藤剛さんへのインタビューの続きです。(前篇はこちら

淹れ方はエアロプレスのみでやってらっしゃいますよね。エアロプレスへのこだわりは?

近藤

それはもう、商売上3位になったので(※近藤さんは2016年ジャパン エアロプレス チャンピオンシップで3位に入賞されました)、エアロプレスで押そうと思ってやったのですけれど、でも結果的にうちの豆はフルーティーな浅煎りなので、エアロプレスってすごく合っているんですよ。エアロプレスって圧で出しているので、凝縮感が出てフルーティーさが増すんです。

エアロプレスでコーヒーを淹れる近藤さん

エアロプレスチャンピオンシップで3位入賞とのことですが、ご自身で研鑽を積まれたんですか?

近藤

2016年は抽選で出場が決まりました。約100人中、27人。選ばれてから、ものすごく勉強というか研究をしました。過去のレシピが全部出ているんですよ。過去3年分くらいの大会のレシピが出ていたので、100種類くらいあってそれを片っ端からやって、自分の大会の豆に合うような形で調整していったんです。
エアロプレスのローストの大会というのも今年からあって、3位でした。それからコーヒーコレクションというグリッチさん主催のイベントもあって、それも3位だったんですよ。みんな3位なんですよね。

エアロプレスチャンピオンシップのトロフィー

Slornを導入していただいて、Slornの可能性に感じる部分はありますか?

近藤

Slornさんは加盟店が浅煎りだけじゃないですからね。そこの差別化はどうすればいいのか、というのは私にもちょっとわからないのですが。オススメのカテゴリーを増やすとか。浅煎りはここで見れば、というカテゴリーを作って、そこを周るようにしてもらうとか。コーヒー好きな人って、1日に何軒も周るじゃないですか。そうすると、同じような店で知らない所はあるか、というのをいつも皆求めているわけですよ。でもそこに深煎りとか色々なものが混じっていたら、わかんないじゃないですか。カテゴリーで分けた方がいいかもしれませんね。

なるほど…!参考にさせて頂きます!

「スペシャルティコーヒーとは何か」といったセミナーをこれまで何回か開催されているとこの事ですが、セミナーをやる利点は?

近藤

やっぱり知ってもらうことですよね。豆を買ってもらってますが、家でどうやって出しているのか、わからないわけですよ。で、豆を買う人ってお店でほとんど飲まないんです。面白いんですけれど。豆を自分で淹れた方が圧倒的に安いですからね。だからどうやって飲まれているかわからないから、本当に味が出ているのか、不安になって。そういうのをちゃんとわかっていただけるように淹れる、というようなドリップとかのセミナーをしたいなと思っています。

セミナーで他店のコーヒーと飲み比べをすると、うちのコーヒーは「薄い方ください」って言われたりするんです。薄くは無いんですよね。苦く無い雑味が無いのが、ちょっと味がしない、みたいな感じで思っている人がすごく多いので。わかるんですけれどね。それは何度か飲まないとわからないんです。
それって日本料理とかでも一緒じゃないですか。高級になってくればくるほど味は薄いわけですよ。薄いというか繊細になっていきますから。醤油をドバドバと入れたりはしませんよね。
つまり、慣れてない人はわからないんです。
それをどうやって知ってもらうか、というのはすごく難しいですよね。
日本料理で最高級の所に行こうと思ったら3, 4万払わないと食べられないですよね。でも、コーヒーって450円くらいでトップの味が体験できるんです。他の物だったら、普通はこんな価格帯で経験できないので、もっと気軽に体験してほしいな、と思っています。

コーヒーって生豆で違って、焙煎で違って、淹れ方で違うからコーヒーの最終的な味になるまで、無数に選択肢がある。だから「美味い」と言っても、それはどう美味いのか、っていうのをわかってもらうのが非常に難しいですよね。

近藤さんの、フルーティー且つ「良い酸味」のあるコーヒーに対するこだわりがひしひしと伝わったインタビューでした。
そして、インタビュー後、「エチオピア ケルー」を飲ませていただきました!
ツンとした酸っぱさは一切無く、酸味はあるのですが、あくまでまろやか!何より豊かな甘みが素晴らしい!後味もしみじみとした酸味とコクが感じられました。そして、冷めた後でもとっても美味しかったです。
なるほど、これが、近藤さんの表現するコーヒー世界かぁ…。
他のSlorn加盟店でも色々と酸味系のコーヒーを飲ませていただきましたが、「酸味」と一口で括ることはできないですね。それぞれ、全く違った世界観を持っていると思いました。

酸味は苦手…と思っている方、是非、一度、Finetime Coffee Roastersへ行ってみてください!新しい世界が開けますよ!
(もちろんその際は、是非、Slornもダウンロードしておいて下さいね!)

近藤 剛
Owner/Roaster/Barista

FINETIME COFFEE ROASTERS 創業者
東京出身だが、中学・高校と多感な時期を大阪で過ごし影響を受ける。
流通業勤務時代に英国・米国留学を経験、食文化の重要性を再認識する。
金融機関で働いた後、住居兼焙煎所兼カフェを経堂にオープン。
趣味は、食べ歩きとサブカル全般。